2012年4月25日水曜日

交通事故の被害者になった時どうすればいいか?

交通事故の被害にあった時に漫然と対応してしまうと後で損害賠償の支払いが受けられず後悔することがありますので、次の諸点に注意して下さい。

1 加害者側の確認
交通事故の被害に遭った場合、後に損害賠償を請求するのに相手方を特定する必要があります。具体的には加害者から運転免許証身分証明書を見せてもらい、氏名・住所・生年月日をメモして下さい。運転者と車の所有者が別の場合、所有者に対しても損害賠償請求をすることができますから、自動車検査証(車検証)や自動車損害賠償責任保険証明書(自賠責証明書)の提示を受けて、所有者・使用者をメモしておいて下さい。

2 警察への届出
警察に届出をしないと、保険金請求手続きに必要な交通事故証明書が発行されないからです。ずるい加害者の場合、「警察に届けないで、示談にしましょう」と言ってくることがありますが、それは責任逃れの行動ですから、絶対に警察を呼んで下さい。警察は、重傷でないと物損事故扱いにしがちです。それは実況見分や供述調書の作成という面倒な手続を省きたいからです。次項にも関係しますが、少しでも怪我をしていると疑われる時には傷害事故として扱ってもらいましょう。

3 救急車を呼ぶ
事故直後は興奮状態にあるためか怪我をしていることが分からず、大したことがないと医者に見せない人が結構います。しかし痛みなどの症状は、その日の夜や翌日になって出てくることが少なくないのです。ですから大したことがないと思っても念のため救急車を呼んで医師の診断を受けて下さい。

4 保険会社への連絡
あなたが自動車保険に加入している場合には、保険会社に自己通知をしましょう。加害者側が任意保険に加入していない場合などには、あなたの保険を使用して保証してもらうことがあるからです。

5 証拠の収集
事故直後の現場の状況や車の損傷状態が後日重要な証拠となることがありますので、携帯電話などを使って写真撮影をしておきましょう。
目撃者がいた場合には、忘れず名前と連絡先を聞いてメモしておきましょう。

2012年4月19日木曜日

遺産分割調停は大変です!

1 申立時の留意点
① 当事者
遺産分割調停事件の当事者は、共同相続人全員です。住所が判明している一部の相続人だけを相手方にすることはできません。相続人が大勢いて、一部の相続人とは音信不通になっているので住所が分からないというケースも少なくありませんが、その場合には、住所が分からない人の戸籍の附票を取り寄せます。戸籍の附票には住民登録された住所がすべて記載されていますから、これにより最後の住所が判明します。

② 管轄裁判所
遺産分割調停の管轄裁判所は、相手方の住所地の家庭裁判所です。例えば、あなたが仙台在住で他の相続人が全員東京在住の場合には、東京家庭裁判所が管轄裁判所となります。他の相続人の中に一人でも仙台在住の方がいれば、仙台家庭裁判所に申立することができます。 


③ 財産目録
調停申立書には財産目録を付けなければなりません。ただ全ての遺産を記載することができない場合には、不動産など知っている財産だけを記載し、「その余は、不詳」と書いておけば大丈夫です。

④ 申立費用
被相続人1名につき収入印紙1200円と郵便切手が当事者1名につき560円(仙台家庭裁判所の場合)です。

⑤ 弁護士を依頼すべきか否か
調停は話合いの手続ですから弁護士を頼まず、自分ですることは可能です。ただ調停申立をする場合には、被相続人及び相続人全員の戸籍謄本などをすべてそろえなければなりません。これが実は、すごく大変なのです。しかも調停が始まると遺留分や寄与分といった法律的問題について主張をしなければならない場合もでてきます。やはり弁護士を依頼された方がいいでしょう。弁護士費用は、遺産額によって決められますが、遺産額の評価方法や遺産額の何%を着手金額とするかは、弁護士によって千差万別ですが、日弁連の統計によると次のようになっています。

30万円前後   29.7%
50万円前後   44.1%
70万円前後    9.2%

2 調停の進め方
調停には、調停員2名が立会い、当事者から事情を聴き、話合いによる解決を目指します。当事者の数にもよりますが、2時間位かかるのが一般的です。調停期日は、大体1か月に1回の割合で定められます。

被相続人の面倒を見ていた一部の相続人が遺産を管理していて、他の相続人には遺産を隠すことも少なくありません。この場合、他の相続人が遺産の開示を求めたり、独自に遺産の調査をしたりするのですが、どうしても時間がかかります。遺産の全貌が明らかになるまでに1年以上かかるというケースも少なくありません。遺産分割調停は時間がかかると思って間違いありません。中には10年位かかるケースもあるのです。




2012年4月16日月曜日

遺産分割

親が亡くなって財産が遺された場合、相続問題が発生します。相続人が一人ならば遺産をどのように分けるのかという遺産分割の問題は発生しませんが、相続人が複数いらっしゃる場合には遺産分割手続は避けて通れません。

遺産分割がすんなり決まれば良いのですが、トラブルが発生し、解決までに途方もない時間がかかることが少なくありません。

遺産分割には、以下のとおりいろいろな形態があります。
1 遺言による分割
亡くなった方(被相続人)が遺言で遺産分割の方法を決めていてくれる場合です。
遺言があれば遺産分割は、スムーズに決まることが多いのです。ですから子供たちが遺産問題で争わないようにしたいとお考えれあれば、遺言を作成することをお勧めします。

2 協議による分割
話合いで遺産分割方法を決めるやり方です。話合いで決まれば弁護士の出番はありません。
しかしお金が絡むので、なかなか話合いで決めることができません。

3 調停による分割
相続人の一部が遠隔地に住んでいる等の理由で話合いができなかったり、話合いをしたものの合意できなかった場合には、家庭裁判所で調停を行わざるをえません。
調停は、話合いなので必ずしも弁護士を頼む必要はありません。しかし、相続財産の範囲や寄与 分(一部の相続人が相続財産の維持や増加に寄与している場合、その金額)について争いがある場合には、法律的な主張をする必要がありますので、弁護士を依頼された方がいいでしょう。

4 審判による分割
家庭裁判所の裁判官に「審判」という判断をしてもらって決めるやり方です。
調停が成立しない場合には、調停の申立時に審判の申し立てがあったものとみなされます。
これは「審判」という名前の裁判ですから、適切な主張立証をしないと負けてしまいます。
したがって弁護士を依頼して手続を進める必要があります。

われわれ弁護士が主として担当しているのは、遺産分割調停です。審判となると依頼者が全面的に敗訴するリスクを負わなければならないので、多少の譲歩をして調停で決めることが多いのです。

次回は、遺産分割調停について説明します。

2012年4月12日木曜日

不貞行為の慰謝料

不貞をした夫に対する慰謝料の相場についてご説明します。

最近の傾向として、妻側が裁判で請求する金額は500万円前後の金額が標準的です。それに対し、裁判官が判決で認めてくれる金額は200万円前後が多いというのが私の感覚です。

被害者の立場からすれば、「何でそんなに低い金額で我慢しなくちゃいけないの?」とお思いでしょうが、日本の裁判では慰謝料額はかなり低く抑えられているのです。

ただ慰謝料の金額は、以下の要素を総合的に判断して決められますので、夫側の有責性が極めて高い場合には高額な慰謝料が認められることもあります。

① 夫婦の収入
② 不貞関係の長短
③ 子供の有無
④ 不貞行為の態様

例えば、高収入の夫が女にマンションを買い与え、何年もの長きにわたって不貞行為を続け、子供まで作っていたというケースでは慰謝料が1000万円以上ということも十分考えられます。一方、ゆきずりの女性と1回だけ関係を持ったという場合には、100万円以下になることが多いでしょう。

2012年4月3日火曜日

不貞行為の立証

夫が(妻が)不倫をしているのでは?と悩んでいらっしゃる方がたくさんいらっしゃいます。長年連れ添った勘で不倫をしていると確信を持っていても、それが立証できなければ裁判には勝てません。しかし不倫の立証は、そんなに簡単なものではありません。肉体関係の存在を立証することが必要なのですが、それが案外難しいのです。具体的に、裁判で使われる不倫の証拠についてご説明します。

メール
不倫相手とやり取りしたメールの中には、いかにも親密な関係を疑わせるものがあります。しかし、メールに露骨に肉体関係のことを記載している例はほとんどありません。単に親しげなメールのやり取りをしているだけでは不倫の立証にはなりません。

写真
不倫相手と一緒に撮影した写真が携帯やカメラから発見されることがありますが、単なるスナップ写真では不倫と証拠としては不十分です。


GPS
以前、妻が夫の車にGPS機能の付いた携帯電話を忍ばせ、位置情報で夫がラブホテルに入ったのを確認し、ホテルから出てきた夫と不倫相手を取り押さえたというケースがありました。最近スマホのアプリを利用して配偶者の位置情報をゲットできるようになったと報道されましたよね。このようなGPS情報はかなり有力な証拠になります。

探偵事務所
探偵事務所に調査を依頼して、配偶者の行動を追跡するという方法も選択肢の一つとなりますが、問題なのは莫大な経費がかかるということです。探偵事務所の料金は、成功報酬ではなく、調査を行った時間料金ですので、数日間尾行をしてもらうだけで数十万円の手数料を支払ったというケースが一般的なので、よほど経済的に余裕のある方以外にはお勧めできません。

自白
経験上、不倫を疑われて配偶者や親族から厳しく追及されると半分以上の人は不倫を認めます。やはり良心には逆らえないのです。幸い認めた場合には、その旨一筆書かせて署名押印してもらいましょう。これが決定的な証拠となります。一旦認めても後で否定するというケースも少なくありません。その場合、書面がないと「言った、言わない」の水掛け論になってしまいますので、認めさせたならば必ず書面を書かせて下さい。